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必要補償額相当の貯蓄があれば保険は不要?

補償額相当の貯蓄があれば保険は不要?

一口に、保険と言っても、その内容は様々です。

生命保険というと、自分に万一のことが合った場合に備えてくれる死亡保障機能の高い商品を想像しますが、なかには保険としての機能がほとんどなく貯蓄性の高いものもあります。

法人や個人事業主が保険に加入する「目的」は、大きく分けて次の4つです。

・開業医自身の死亡保障、高度障害保障、休業補償目的

・退職金作り

・節税効果(事業所得の節税、相続税対策など)

・緊急時の運転資金代わり

大半の開業医は、莫大な金額の保険に加入しています。とりわけ、驚くのは支払っている保険料の高さです。月額50万円ほどの保険料を支払っている開業医も少なくないのです。金額的にも大きくなるのは、やはり死亡保障や高度障害保障、そして休業補償ですが、ほとんどの開業医は加入しすぎの傾向にあります。しかも、死亡保障は大きいものの掛け捨て型であるとか、保険商品として魅力的ではないものに加入しているケースが非常に多いのです。

 これまでコンサルティングをさせていただいた開業医のなかには、年間の所得金額とほぼ同額の保険料を支払っていた人もいました。当然、家計も赤字になっており、蓄えも減っていました。多くの場合、どうしてこんな保険に加入したのかを聞いても、明確な答えは返ってきません。外務員に「先生はこれぐらいに入っておかないと」とメリットのみ説明をされて、ついつい入ってしまったという開業医が多いのです。保険の加入を考える前に、必ず押さえておくべきポイントがあります。まずは「必要額を算出する」こと、次に「目的を明確にする」ことです。目的が曖昧なまま保険に加入してしまうと、どうしても同じような商品に複数入ってしまう結果になります。さらに、必要額を性格に算出することで、過剰な加入を防ぐことができます。開業医の多くは、自分自身の必要額を超えて加入している人が多い傾向があります。要するに、「無駄な保険に加入しない」ことが重要だということです。たとえば、前述の用な開業医をはじめとする、個人事業主や企業経営者などが保険に加入する際に求める「機能」のなかから、自分の目的に合わせたものを選ぶといいのではないでしょうか。

・死亡保障、高度障害保障

 文字通り、被保険者が死亡した場合や高度障害状態になった場合に保険金が出るものです。問題は、いくらぐらいの保険金が出るように設定するかですが、第2章で紹介した「ライフイベント表」から算出できます。ただし、その際に注意したいのは、住宅ローンなどの不動産ローンでは、本人が死亡した場合や高度障害が残った場合、残債はすべて付属している保険で補償されるために返済が不要になります。保険の必要額を算出する時には、その点の注意が必要です。

・休業補償

 病気やけがで入院、手術をした場合、入院給付金や手術給付金として活用される保険です。開業医の場合、自分が倒れることは同時に収入の減少を意味しますから、こうした保険に加入しておくことは必要です。問題は保険金の目安ですが、現時点での「ランニングコスト」を参考に決めていくことになります。ランニングコストのなかには、医院を開業していくにあたって必要な水道光熱費や人件費の他に、家族の生活費や教育費なども入ります。自分がいなくても生活がきちんと維持できるだけの費用、それがランニングコストになります。なお、休業時に保険金が出る保険には、生命保険だけではなく損害保険会社が提供する休業補償保険などもあります。

・貯蓄、資産運用

 たとえば、自分や従業員の「退職金」を作るために保険商品を使う場合もあります。国内の保険商品の場合、税金対策に使えるものの運用機能は低いといった商品も数多くあります。そういった保険商品は、単なる「積立て預金」のような形で使い、課税の繰り延べ効果を生かす運用商品として活用しないほうがいいかもしれません。こうした機能を賢く使えば「緊急時の資金代わり」に使うことも可能になります。

・節税

 個人ではなく法人の場合に使える保険ですが、節税目的で保険を使うこともできます。たとえば、5年間保険料を払い込んで6年目に解約して保険料を受け取るようなタイプ。6年目に解約した時の解約返戻金が100%になって返ってくるため運用効果は少ないのですが、5年間保険料を払い続けている間は「経費」として節税に使うことができます。解約返戻金で利益が出ると課税されますが、超低金利の国内生保の商品ではそう気にする必要がないかもしれません。保険というと何となく「最悪でも損はしないだろう」といった安易な考えを持っている人が多いのではないでしょうか。損はしない、しかも節税に使える。そう思って多額の保険に加入したところ、実は運用利益は期待するほど得られず、単に「課税の繰り延べ」でしかない場合もよくあることです。とは言え、保険の節税効果は大きいため、最大限に駆使したいものです。

 生命保険の機能や支払わなくてはならない保険料、いざというときに支払われる保険金の額などをきちんと把握して、無駄な保険に加入しないこと。必要な保険のみに加入することが重要です。ライフイベント表で算出した必要補償相当額の貯蓄があればそもそも生命保険に加入する必要はないのかもしれません。実際に、私のクライアントのなかでも無保障の方もいらっしゃいます。

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