
歯科医院 【医療法人化 メリット・デメリット】
弊社では、歯科開業医の先生であるクライアント様と数多く出会います。
そうすると、先生それぞれの『自分らしい人生のデザイン』をお手伝いする際に、有意義な情報をシェアができたりします。
クライアント様へ定期的に配信しているレポートの中では、
地域で有名な先生のこと、
「教育」「診療」「経営」「院内の企画」などなどの工夫や取り組みをご紹介しております。
今回、その中から「歯科医 法人化」におけるポイントをご紹介させていただきます。
目次[非表示]
- 1.医療法人化のメリットとは
- 1.1.税率格差による節税
- 1.2.給与所得者控除が受けれる
- 1.3.親族などに報酬が可能
- 1.4.生命保険が法人経費にできる
- 1.5.院長の退職金を法人の経費にできる
- 1.6.社会的信用力の向上
- 2.医療法人化のデメリットとは
- 2.1.配当の禁止
- 2.2.接待交際費の10%は認められない
- 2.3.指導が強化
- 2.4.カンタンには辞められない
医療法人化のメリットとは
やはり最初に思いつくのは、節税・資産形成にもつながりやすい税制上のメリットかと思います。
税制以外にも、所得分散・生命保険掛け金の経費処理・院長の退職金の経費処理など多くのメリットがあると思われます。
それでは、それぞれの要点をカンタンに記載させていただきます。
税率格差による節税
個人で開業している場合は、当然、個人の所得に対して税金を払います。
個人の税金の計算式は次にようになります。
課税される所得金額 |
税率 |
控除額 |
---|---|---|
195万円以下 |
5% |
0円 |
195万円を超え 330万円以下 |
10% |
97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 |
20% |
427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 |
23% |
636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 |
33% |
1,536,000円 |
1,800万円超 |
40% |
2,796,000円 |
(注) 例えば「課税される所得金額」が700万円の場合には、求める税額は次のようになります。
700万円 × 0.23 - 63万6千円 = 97万4千円
課税される所得金額 |
税率 |
控除額 |
---|---|---|
一律 |
10% |
0円 |
一方、医療法人は法人税が課税されます。
では、税率は、
- 所得金額800万円まで約22%(実効税率)
- 所得金額800万円を超えた金額は約35%(実効税率)
※法人税の実効税率とは? 法人税の実効税率とは、国税である法人税だけでなく、地方税を含めて、法人企業の利益に課税される税の実質的な負担率を示すものです。 |
個人の課税計算は、
所得税・住民税の税率は15%~50%
対して、法人税は22%~35%なので、
税率格差が生まれますよね。
それが節税になります。
課税対象額2,000万円の場合で、単純に計算すると・・・
個人の場合 |
---|
2,000万円 × 50%(実効税率)-279万円(速算表の控除額) = 約720万円 |
法人の場合 |
---|
▽▽ 800万円までの金額 ▽▽ 800万円 × 約22% = 約17.6万円 ▽▽ 800万円を超えた金額 ▽▽ 1,200万円 × 約35% = 約420万円 ▽▼▽▼▽ 合 計 ▽▼▽▼▽ 17.6万円+420万円 = 約437.6万円 |
個人・法人の税率格差はこのようなカンジです。
給与所得者控除が受けれる
医療法人化にすれば、理事長としてに、法人から給与(理事長報酬)をもらうようになります。
そうすると、
サラリーマンの強みの1つ【給与所得控除】を受けれるようになります。
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) |
給与所得控除額 |
---|---|
180万円以下 |
収入金額×40% 65万円に満たない場合には65万円 |
180万円を超え 360万円以下 |
収入金額 × 30% + 18万円 |
360万円を超え 660万円以下 |
収入金額 × 20% + 54万円 |
660万円を超え 1,000万円以下 |
収入金額 × 10% + 120万円 |
1,000万円超 |
収入金額 × 5% + 170万円 |
例えば、
理事長の報酬が2,000万円なら、
給与所得控除は270万円なので、課税対象は1,730万円に下がることになります。
これは、大きいと思います。
親族などに報酬が可能
院長の配偶者、その他の親族等を 役員 にすることで、
その職務内容や勤務実態に応じた理事報酬の支払が可能となります。
所得の分散を図ることができますし、
所得を分散することで、税率を下げることが可能です。
このようにしている人は、経験則で多いかな~と思います。
生命保険が法人経費にできる
生命保険料を支払った場合、
契約者と保険金受取人を法人にすれば、支払った保険料の何割かが法人の経費となります。
個人の生命保険控除は、数万円・・・、法人だと、半損やら全損やらで、結構出せます。
保険の種類によって割合が違いますので、専門の人に相談して下さいね。
もちろん弊社でも相談をお受けすることは可能です(笑)
法人活用の資産形成でも、重要ですよね♪
院長の退職金を法人の経費にできる
個人で開業している場合には、退職金を受け取れません。
しかし、
医療法人の理事長が退任する時には、役員退職金を支給することが可能です。
適正な金額であれば全額を法人の経費とすることが可能です。
さらに退職金を受け取った院長は、退職金は退職所得となるため、所得税の負担がさがります。
この法人のメリットを活かした資産形成は有効ですよね。
社会的信用力の向上
医院経営と個人の家計を明確に区分することで、経営の健全化が向上します。
適正な財務管理をしておけば、金融機関等への対外的信用が向上します。
体制が変われば、気持ちも変わって、良い方向に動くケースは多いと思います。
医療法人化のデメリットとは
メリットがあれば、当然デメリットも出てきます。
このデメリットも十分ご理解いただいたうえで、医療法人化をすすめるべきかの判断を行う必要があります。
弊社では、メリット・デメリットのバランスをクライアント様と確認しながら最善策をご提案しておりますので、お気軽にご相談いただきたいと思います!
配当の禁止
医療法人は、医業の非営利性の考えから、出資金に対する配当を禁止しています。
法人の利益は、理事長の自由にならないお金になります。他にも理事などへの賞与も「利益の分配」とみなされ制限されます。
弊社のクライアント様も、個人から法人化して、「変な感じだ・・・」とおっしゃっておりました。
接待交際費の10%は認められない
個人では、100%認められていた接待交際費が、10%が認められない。
加えて、年間の限度額も設けられます。
指導が強化
都道府県知事による立ち入り検査等の指導が強化されます。
カンタンには辞められない
特別な理由がない限り、安易に解散することができなくなります。
「持分の定めのない社団医療法人」が解散した場合
残余財産の帰属先が、国、地方公共団体、財団医療法人、持分の定めのない社団医療法人等に制限されます。
個人が受け取ることはできません。
~ 残余財産の帰属先の制限 ~
既存の医療法人には、経過措置が適用されます。 ※日本医師会「医療法人制度改革 ~定款変更など」より引用 |
医療法人は非営利性の立場ですから『お国』に帰すこともあるみたいですね。
以上、医療法人化のメリット・デメリットを書いてみました。
弊社では全国600を超える医師・歯科医師様へのコンサルティング経験から、1つ1つの項目に対してリアルなクライアント様の事例なども踏まえながら、お応えさせていただいております。
是非、お気軽にお問い合わせいただますと幸いです。
※本記事の内容は、作成時点の制度・規制・規約・市況などの情報を基にして作成しております。改正等により記載内容の実施・実行・対応などが行え場合がございますので予めご了承ください。最新情報に基づいた内容などについては、「ご相談・お問い合わせ」ページからご確認いただけますと幸いです。 |