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勤務医が結婚後に直面する「お金の4大問題」共働き・専業主婦・子あり・子なし別の正解

「結婚したとたん、お金のことをちゃんと考えなければと気づいた」——この言葉が、多くの勤務医から聞かれます。配偶者の扱い方、住宅購入のタイミング、子どもの教育費、保険の見直し——これら4つの問題は、家庭の状況によって「正解」が大きく異なります。ご自身のケースに合った設計を本稿で確認してください。


目次[非表示]

  1. 1.「結婚したとたん、お金のことをちゃんと考えなければと気づいた」
    1. 1.1.「103万円の壁」は年収1,000万円超の医師には関係ない
    2. 1.2.結婚後の住宅購入:最も適したタイミングはいつか
    3. 1.3.「医学部に行かせたい」なら、子が0歳の今から始める
    4. 1.4.「いくらの死亡保障が必要か」を計算する
    5. 1.5.就業不能保険:家族ができた今が「最も重要な時期」
  2. 2.ケース別の正解パターン——共働き・専業主婦・子なし夫婦
    1. 2.1.共働き医師カップルへの特別注意:「2人とも忙しい」が最大のリスク
  3. 3.まとめ——「結婚したとき」が資産設計を始める最適なタイミング
    1. 3.1.結婚後すぐにすべき6つのアクション
    2. 3.2.「今の状況」に合った設計は、今しかできない

「結婚したとたん、お金のことをちゃんと考えなければと気づいた」

独身の勤務医にとって、お金の管理は比較的シンプルです。収入は一人分、支出も一人分、守るべき家族もいない——「iDeCoくらいはやっておこう」程度の意識で何とかなっていた方も多いでしょう。

しかし、結婚によって状況は一変します。配偶者の扶養・保険・年金をどうするか。住宅を購入するかどうか、するならいつ・いくらで。子どもが生まれたら教育費はどう準備するか。万が一自分が働けなくなったとき、家族を守れるか——これらのすべてが、ほぼ同時に問題として浮かび上がります。

さらに医師という職業特有の問題もあります。医局人事による転勤リスク・フルコミッションの当直収入の変動・医師賠償のリスク——これらは一般的な会社員の資産設計ガイドでは触れられていない、医師固有の問題です。


[ 視点 ] 結婚は「個人のお金の問題」が「世帯のお金の設計」に変わる転換点です。独身時代に「まあいつかやろう」と先送りしていた資産形成の問題が、結婚を機に「今すぐ決めなければ機会を失う」問題に変わります。


本稿では、勤務医が結婚後に直面する4つのお金の問題を順番に解説し、ご家庭の状況(共働き・専業主婦・子あり・子なし)に応じた正解パターンをご紹介します。


問題①  配偶者をどう扱うか——扶養・共働き・法人役員の3択


結婚後の「配偶者の扱い方」は、税負担・社会保険・老後の年金設計に直接影響する、最重要の設計事項の一つです。「専業主婦(夫)として扶養に入れる」「共働きを続けてもらう」「法人(MS法人)の役員にする」という3つの選択肢があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。


【配偶者の扱い方:3パターンの比較(節税・社保・老後年金の観点から)】

配偶者の扱い方

A:扶養に入れる(専業主婦)

B:共働き(別々に収入)

C:法人役員にする(MS法人)

配偶者控除

医師の所得から38万円控除可(年収103万円以下)

配偶者の所得が高い場合は適用なし

役員報酬の設計次第で適用または不要

世帯の税負担

医師一人に収入が集中→累進課税の壁が高い

2人に分散→世帯全体の税率が下がる

役員報酬で所得分散→世帯税率を最も柔軟に設計できる

社会保険

配偶者は医師の扶養内(保険料は不要)

配偶者が自分の勤務先で社保加入→保険料が別途発生

法人から報酬を受け取る場合は役員社保の加入が必要

老後の年金

配偶者は3号被保険者→老後の年金は国民年金のみ

配偶者も厚生年金に加入→老後の年金が増える

役員報酬の水準次第で厚生年金の受給額が変わる

節税効果

配偶者控除(38万円)のみ

2人の給与所得控除が使える→世帯課税所得が減る

役員報酬額を自由に設定できる→最も高い節税効果が期待できる

適した状況

子育て・介護で就労が難しい時期、または配偶者が働く意思がない場合

配偶者が医師・看護師・専門職でキャリアを持ちたい場合

副業収入があり法人を既に持っている、またはMS法人設立を検討中の場合

※上記は一般的な比較です。個々の年収・家族構成・就労意欲・健康状態等により最適な判断は異なります。


「103万円の壁」は年収1,000万円超の医師には関係ない

よく話題になる「配偶者控除・103万円の壁」ですが、年収1,000万円を超える医師の場合、配偶者控除・配偶者特別控除は2018年の税制改正により適用できなくなっています。つまり、配偶者が103万円以内で働いても、医師本人の税負担は変わりません。


【「収入の壁」の整理:年収1,000万円超の医師に影響するものとしないもの】

収入の壁

配偶者の年収目安

壁を超えると発生すること

勤務医家庭での留意点

103万円の壁

パート・非常勤等で103万円超

所得税の課税開始。医師の「配偶者控除」が適用されなくなる

医師の年収1,500万円超では配偶者控除自体が適用外(年収1,000万超で廃止)

106万円の壁

従業員51人以上の職場でのパート

社会保険(健保・厚生年金)への加入義務が発生

一定規模以上の医療機関での非常勤は対象になる可能性あり。確認が必要

130万円の壁

年収130万円超

扶養の社会保険から外れ、国民健康保険または勤務先の社保への加入が必要になる

「扶養内で働く」を選ぶなら130万円未満に抑えることが条件

150万円の壁

年収150万円超

配偶者特別控除の控除額が段階的に減少していく(201万円で0になる)

医師の年収1,500万円超では配偶者特別控除も適用外のため、この壁は関係なし

実務上の結論

年収1,000万円超の医師の場合、配偶者控除・配偶者特別控除は適用外のため、「壁」を意識した就労調整は不要

配偶者にはフルタイムで働いてもらうか、法人役員として報酬を受け取る設計の方が節税上有利

※「壁」の取り扱いは税制改正により変更される可能性があります。最新情報をご確認ください。


年収1,000万円超の勤務医にとっての実務上の結論は、「配偶者に扶養内で働いてもらっても、医師側の節税にはほとんどならない」ということです。むしろ、配偶者にフルタイムで働いてもらい世帯収入を増やすか、法人役員として報酬を受け取る設計を選ぶ方が、世帯全体の経済的合理性が高くなります。


[ Point ] 年収1,000万円超の勤務医の場合、「配偶者を扶養に入れること」の税務的なメリットはほぼありません。配偶者の意向・キャリア・家族計画と合わせて、最も世帯全体の利益になる働き方を選択することをお勧めします。



問題②  住宅購入のタイミングと医師特有のリスク


結婚を機に「そろそろマイホームを」と考える勤務医は多くいます。しかし、医師という職業には住宅購入において一般的な会社員とは異なる固有のリスクがあります。これらを正しく把握したうえで購入の意思決定をすることが、後悔しないマイホーム取得につながります。


【勤務医の住宅購入に潜む4つのリスクと対策】

リスクの種類

内容・発生シナリオ

住宅購入後の影響

対策・設計のポイント

医局人事・転勤リスク

専攻医終了後の配属先変更・研究留学・院長就任での移転

購入した家に住めなくなる。賃貸に出せるかどうかが死活問題になる

転勤になっても賃貸に出せる立地(駅近・都市部)を選ぶ

収入変動リスク(バイト減)

病気・転職・子育て優先・当直を減らしたい局面での収入低下

ローン返済の重さが固定費として残り、生活が圧迫される

「最低保証収入(常勤給与のみ)でも返済できる額」を上限にする

共働き前提ローンのリスク

配偶者の産休・育休・キャリアダウンで収入が一時的に落ちる

ペアローン・収入合算で組んだローンが返済困難になる

片方の収入だけでも生活できる借入額に設定する

金利上昇リスク(変動金利)

変動金利型ローンの場合、金利上昇で毎月の返済額が増加

5,000万円のローンで金利が1%上昇すると月返済が約2.5万円増加

固定金利との比較検討・5年後の返済額シミュレーションを事前に実施

※上記は一般的なリスクの整理です。個々の雇用形態・医局との関係・家族計画等により実際のリスクは異なります。


結婚後の住宅購入:最も適したタイミングはいつか

医師にとって住宅購入の最適タイミングには、いくつかの一般的な指針があります。

転勤のリスクが落ち着いた時期(専攻医修了後・勤務先が安定した時期):少なくとも現在の勤務先に5〜10年程度勤務できる見通しが立ってから購入することで、転勤による「住めない家のローン返済」リスクを下げることができます。

子どもの学区・教育環境が固まる時期:子どもの学校選択と住む場所は密接に関係します。子どもが小学校に入る前後が、多くの医師家庭にとって住宅購入のタイミングになります。

金融資産がある程度蓄積された後:頭金を10〜20%用意することで借入額を抑え、毎月の返済負担を軽減できます。「頭金ゼロで借りられる」からといって、必ずしも今すぐ最大限借りる必要はありません。


[ ! ] 「転勤になった後の家をどうするか」の答えを用意していない状態での住宅購入は非常にリスクが高いです。賃貸に出せる立地か・いくらで売れるかを購入前に確認することが、後悔のない住宅取得の必須条件です。



問題③  子どもの教育費設計——医学部進学を望む場合の現実


子どもが生まれると、教育費という新たな大きな支出が家計に加わります。特に「子どもにも医師になってほしい」と望む医師にとって、私立医学部を含む教育費の現実は、知っているのと知らないのとでは準備の質が大きく変わります。


【教育コース別・18歳までの総教育費:医学部 vs 一般大学の比較】

教育コース

幼〜高校(目安)

大学・医学部(目安)

受験費用(目安)

18歳まで合計(概算)

公立コース+国公立医学部

約500〜800万円

約1,200〜1,400万円

約200〜400万円

約1,900〜2,600万円

私立コース+国公立医学部

約1,500〜2,500万円

約1,200〜1,400万円

約200〜500万円

約2,900〜4,400万円

私立コース+私立医学部

約1,500〜2,500万円

約1,500〜4,000万円

約300〜800万円

約3,300〜7,300万円

公立コース+文系・理系大学(国公立)

約500〜800万円

約250〜350万円

約30〜100万円

約780〜1,250万円

私立コース+私立文系・理系大学

約1,500〜2,500万円

約400〜700万円

約30〜100万円

約1,930〜3,300万円

※上記はすべて概算です。学校の選択・物価動向・習い事の有無等により実際の費用は大きく変動します。


この表が示す通り、子どもが私立コースを歩み私立医学部に進む場合、18歳までに親が準備すべき総教育費は3,300〜7,300万円という非常に大きな金額になります。これは「何もしなくてもなんとかなる」という金額ではなく、生まれた瞬間から計画的に積み立てを始めなければ到底準備できない規模です。

「医学部に行かせたい」なら、子が0歳の今から始める

私立医学部の学費を見据えて準備するなら、子どもが生まれた瞬間から月10万円以上の積立を始め、年率4〜5%の運用を続けることで3,000万円前後の準備が可能になります。子が6歳を過ぎてから始める場合、必要な月積立額は月17〜20万円以上に急増します。

「国公立医学部を目指させるから大丈夫」という考え方は一定の合理性がありますが、国公立医学部は競争率が非常に高く、浪人・多浪のリスクもあります。受験費用・浪人費用を含めると、国公立合格でも受験準備期間に200〜500万円が追加でかかります。「国公立を目指しながら、最悪私立に行く場合の費用も準備しておく」という設計が最も現実的です。


[ 実例 ] Dさん(35歳・内科・勤務医)夫婦のケース:子どもが1歳のとき、「医師になってくれたら嬉しい」と思いながら何もしていなかった。子が5歳になったとき初めて「私立医学部の学費は最大4,000万円以上」と知り愕然。月17万円の積立が必要と試算されたが、住宅ローンが月30万円あり実際に積立できる金額は月5万円が限界だった。「もし子が0歳のときから月10万円積み立てていれば、今頃600万円以上になっていた。知らなかったことが本当に悔しい」と話す。



問題④  生命保険・就業不能保険の見直し——家族ができて何が変わるか


独身時代の保険設計は「自分だけを守る設計」です。結婚によって「家族を守る設計」に根本から変える必要が生まれます。特に、子どもが生まれた後の死亡保障と就業不能保険は、「持っている保険の内容が本当に家族を守れるか」を必ず確認すべきタイミングです。


【保険の必要性の変化:独身→結婚後子なし→子あり】

保険の種類

独身時の必要性

結婚後(子なし)の必要性

子どもが生まれた後の必要性

定期死亡保険

低(自分だけ守ればいい)

中(配偶者の生活費・収入喪失に備える)

高(子の教育費が完了するまで必須)

就業不能保険

中(独身でも本人の生活費は守る必要あり)

高(家族の生活費・ローン返済に影響が出るため重要度が急上昇)

最高(子の教育費も含めて長期の収入補填が必要)

医療保険・がん保険

中(資産がない段階では有効)

中(資産が蓄積されれば縮小を検討)

中(高額療養費制度と組み合わせで保障額の適正化を)

学資保険

不要

不要(子がいない)

低(新NISAの方が利回りで有利。学資保険の必要性は低い)

配偶者向け生命保険

不要

配偶者が就労している場合は一定の保障が必要

子の養育・教育費に影響するため、配偶者の収入次第で保障を設計

※上記は一般的な傾向です。個々の資産水準・配偶者の収入・子の人数等により必要な保障内容は異なります。


「いくらの死亡保障が必要か」を計算する

医師の多くは「生命保険に入っているが、保障額が十分かどうかわからない」という状況にあります。必要な死亡保障額は、残された家族が生活するために必要なお金から、すでに積み上がっている資産・受け取れる遺族年金を差し引いて計算します。


【必要な死亡保障額の試算:子なし夫婦 vs 子あり(2人)の場合】

必要な保障の要素

子なし夫婦の場合(目安)

子あり(2人)の場合(目安)

配偶者の生活費(月25万円×30年)

約9,000万円

約9,000万円

住宅ローン残高(団信で0円になる場合)

0円(団信加入前提)

0円(団信加入前提)

子どもの教育費・養育費

なし

約2,000〜5,000万円(医学部か否か次第)

マイナス:遺族年金(概算)

▲約1,500万円(配偶者の遺族厚生年金)

▲約3,000万円(遺族厚生年金+子の加算)

マイナス:現在の金融資産(積立済みの資産)

▲ 現在の金融資産額

▲ 現在の金融資産額

■ 必要な死亡保障額(概算)

約7,500万円前後(資産水準による)

約8,000〜1.4億円(教育費・資産水準による)

※上記は概算モデルです。実際の必要保障額は生活費・ローン残高・金融資産・遺族年金額等により大きく異なります。保険の見直しはFP・保険代理店にご相談ください。


この試算で重要なのは「住宅ローン残高」の取り扱いです。住宅ローンには「団体信用生命保険(団信)」が付帯していることが多く、借入者が死亡した場合はローンが全額消えます。団信が適用される場合、死亡保障からローン残高分は引くことができます。団信の条件を確認しておくことは、保険設計の基本です。

就業不能保険:家族ができた今が「最も重要な時期」

医師が病気や怪我で働けなくなった場合、健康保険の傷病手当金(日額の3分の2・最大1年6か月)が支給されますが、その後の収入補填はありません。家族・住宅ローン・教育費という3重の支出が固定されている状況で、収入がゼロになることは家計にとって壊滅的です。

就業不能保険は、毎月の保険料は1〜3万円程度ですが、受け取れる給付金(月20〜50万円)の価値は非常に大きいです。特に医師の場合、「医師として復帰できない」という条件と「医師以外の就業ならできる」という条件では、保険金の支払い条件が異なります。医師専用の特約があるかどうかも確認しておきましょう。

ケース別の正解パターン——共働き・専業主婦・子なし夫婦

ここまでの4つの問題を踏まえて、ご家庭のケースに応じた「正解パターン」を整理します。一つの型が「すべての家庭に正解」ではなく、家族構成・収入構造・ライフプランによって最適解は変わります。


【ケース別の資産形成「正解パターン」と注意すべき落とし穴】

ケース

特徴

資産形成の優先事項

特に注意すべきリスク・落とし穴

共働き医師カップル

2人とも医師で高収入。世帯年収が2,000〜4,000万円に達することも

世帯合算で累進課税が激しい→法人活用による所得分散が最優先。2人分のiDeCo・NISAを満額活用

「2人とも忙しくてお金の話をする時間がない」→放置している間に節税の機会を失い続ける。年1回の専門家相談を習慣化

医師×専業主婦(配偶者が就労しない)

医師一人に収入が集中。配偶者は家事・育児・介護等を担う

配偶者を法人役員に設定して所得分散(法人がある場合)。配偶者のiDeCoへの加入検討。生命保険・就業不能保険の優先度が最高に

「医師が働けなくなったとき」の収入が完全にゼロになるリスク。就業不能保険は必須。配偶者の老後年金(3号被保険者のみ)が少ない点も要注意

医師×共働き(配偶者が別職業)

医師の収入がメイン。配偶者にも一定の収入がある

配偶者の収入は「投資専用資金」として設計するか、教育費積立に充てる。世帯での節税設計を一体で考える

配偶者の収入を「生活費の補填」に使ってしまい、資産形成に回らないパターン。配偶者の収入の使途を先に設計する

子なし夫婦(DINKS)

教育費負担なし。世帯の自由なキャッシュフローが最も大きい

「老後に必要な資産が子あり世帯より多くなる(子どもの援助が期待できない)」という現実から逆算し、iDeCo・NISA・不動産投資を積極的に活用

「余裕があるから後でいい」と資産形成を先延ばしにするパターン。子なしほど老後資金の自己準備が重要。子の有無は老後の「援助の可能性」にも影響する

※上記は一般的な傾向を示したものです。個別の状況・家族の意向・職場環境等により最適な設計は異なります。


共働き医師カップルへの特別注意:「2人とも忙しい」が最大のリスク

2人とも医師という共働きカップルは、世帯年収が最も高く資産形成のポテンシャルが最大です。しかし同時に「2人とも多忙でお金の話をする時間がない」という状況に陥りやすいです。結果として、iDeCoもふるさと納税も節税も放置したまま数年が過ぎ、「世帯年収3,000万円なのに資産が少ない」という状態になることがあります。

2人とも医師のカップルにこそ、「年に1回、医師専門のFP・税理士に世帯の資産設計を見てもらう」という習慣が特に有効です。1回数万円の相談料が、数十〜数百万円の節税効果をもたらすことは珍しくありません。


[ 視点 ] 医師同士のカップルが陥る最大の落とし穴は「2人とも仕事が忙しくて、お金の話を先延ばしにし続けること」。5年後に「あの時動いていれば…」という後悔を避けるために、今年中に専門家への相談という「仕組み」を作ってください。


まとめ——「結婚したとき」が資産設計を始める最適なタイミング

本稿を通じてお伝えしてきたことを、最後に整理します。結婚は「お金の設計を個人から世帯へ切り替えるタイミング」です。この転換点を活かした設計ができるかどうかが、10年後・20年後の世帯の資産規模を大きく左右します。

結婚後すぐにすべき6つのアクション


#

アクション

具体的な内容

実行しないと起きること

1

世帯のキャッシュフローを「見える化」する

2人の収入・支出・資産・負債をすべて書き出し、世帯全体の財務状況を把握する

「合算すると意外とお金がない」という状況が発覚するのが数年後になる

2

配偶者の扱い方(扶養・共働き・役員)を決める

本稿の「問題①」を参考に、税務・社保・老後年金の観点から最適な選択を決める。法人がある場合は役員就任の手続きも

適切な判断なしに数年が過ぎると、節税の機会を毎年失い続ける

3

生命保険・就業不能保険の見直しをする

独身時代の保険から「家族を守る保険」へ設計を変更。過剰な貯蓄型保険の解約・適正な死亡保障・就業不能保険の確認

「とりあえず独身時の保険に入ったまま」が最も無駄なお金の使い方になる

4

iDeCo・新NISAを2人分フル活用する

配偶者が会社員なら月2.3万円、専業主婦(夫)なら月2.3万円(国民年金第3号被保険者)、自営業なら月6.8万円のiDeCoに加入。新NISAは2人合計で年720万円まで活用可

1年でも遅れると、その年の非課税枠が永遠に消える

5

「何歳で何をしたいか」の人生設計を2人で話し合う

子どもの有無・住宅購入の計画・引退の年齢・将来の働き方——これらを2人で一致させることで、資産形成の目標が明確になる

「何となく」で生きているうちに、老後の設計が後手に回る

6

医師専門のFP・税理士に世帯設計の相談をする

世帯の税負担最適化・節税手段の選定・教育費設計・老後試算——これらを一括して専門家に診てもらう。結婚後1年以内が最も効果的なタイミング

「なんとなく生活できているから」と先延ばしにすることが、10年後の資産の差の最大の原因になる



「今の状況」に合った設計は、今しかできない

結婚直後は「これから2人で何を大切にして生きていくか」を話し合う最良のタイミングです。子どもを持つかどうか・住宅をどうするか・働き方をどう変えるか——これらの人生設計の答えが、そのままお金の設計の前提になります。

「お金の話は苦手」「後でゆっくり考えたい」という気持ちはよくわかります。しかし、iDeCoは1年先送りするたびに数万円から十数万円の節税機会を永遠に失います。NISAの非課税枠も、使わない年の枠は繰り越せません。「今の設計が最も有利」という事実を、どうかご記憶ください。

本稿がきっかけとなって、今日から「世帯としてのお金の設計」を始めていただければ、これ以上嬉しいことはありません。


[ Point ] 結婚は「個人から世帯」へのお金の設計の転換点。結婚後1年以内に医師専門のFP・税理士に相談することが、人生全体の資産形成の出発点として最も効果的なタイミングです。「そのうちやろう」を「今日から始める」に変えてください。



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