ブログ

BLOG
医師・歯科医師に特化した総合資産管理コンサルティング
catch-img

無駄な保険に加入しないために開業医が理解しておきたい保険の基礎知識

勧められるがままに保険に加入していませんか?

目次[非表示]

    1. 0.1.勧められるがままに保険に加入していませんか?
    2. 0.2.【死亡保障、高度障害保障目的】必要保障額は年々減少します!
    3. 0.3.【休業補償目的】3ヶ月分の休業補償を準備しておきましょう
    4. 0.4.【貯蓄・資産運用目的】貯蓄・運用と保険は別で考えましょう
    5. 0.5.【節税目的】法人保険を使った節税はできなくなりました
    6. 0.6.【退職金目的】退職金目的の法人保険は拠出時も受取時もお得!?
    7. 0.7.まとめ


私たちは、コンサルティングの中で保険分析を行っているのですが、開業医の先生方が加入されている生命保険の半分以上を解約しても十分に保障が足りているようなケースは珍しくなく、無駄な保険料を払い続けていらっしゃる開業医の方が非常に多い印象を受けます。中には、数十年保険を見直していなかったり、言われるがままに加入し続けたりした結果、見直し後の支払い保険料が、見直し前の10%以下になったというケースもありました。 今回は、生命保険に加入する目的別で、加入前に押さえておきたい保険の基本的な考え方についてお伝えします。

【死亡保障、高度障害保障目的】必要保障額は年々減少します!

文字通り、被保険者が死亡した場合や高度障害状態になった場合に保険金が出るもので、一般的に残されたご家族の生活を守るために加入するのが一般的です。 開業医の先生方が加入されている生命保険証書を拝見していると、この死亡保障又は、高度障害保険に偏った保障内容となっていることが非常に多くなっています。また、若い頃に加入した終身保険などを、そこまで保険料も高くなく、途中でやめるのはもったいないといった理由でそのままにされている方も多くいらっしゃいました。 ここでポイントとなるのは、皆様が、40歳で亡くなった場合に必要となる死亡保障の金額と、70歳で亡くなった場合に必要となる死亡保障の金額は全く違うということです。 40歳でお子様がいらっしゃる方であれば、これからお子様が進学して教育費がかかるでしょうし、その後残された家族が今と同程度の生活を続けられるだけの資金を準備しておきたいと考えると、その金額は数億円に上ることも珍しくありません。事業借入れの団信代わりに加入されているものも加わると、年間数百万円もの保険料を支払われているケースも少なくありませんが、支払っている保険料が高いからといって多く削れるかというと、そうでもありません。 一方で、70歳時点であれば、お子様にかかる資金は考えなくても良いでしょうし、医院の借り入れ等も少なくなり、配偶者の残りの生活を守る程度であれば、40歳時点の2~3割程度の保障があれば足る場合も多いのです。 このように、年数が経つことで加入する必要が無くなる保険が存在することがわかります。さらに、年々新しい保険が出てきており、同じ保障内容でも保険料が安くなっているものや、保障範囲が広がっている商品も多くあります。 もし、10年前と今とで保険の加入状況がほとんど変わっていないという方は、いますぐ、保険をかけすぎていないか確認されることをお勧めします。

【休業補償目的】3ヶ月分の休業補償を準備しておきましょう

病気やけがで入院、手術をした場合、入院給付金や手術給付金として活用される保険です。開業医の場合、院長先生が入院されると、医院をしばらく休まなければならない場合も多いでしょう。そうなると、一時的に売上がゼロになってしまうことも想定されます。そして休業している場合にも、医院のテナント料やスタッフの給与など出て行く費用は存在しますし、その間のご家族の生活も守らなければなりません。 万が一に備えて、ランニングコスト3ヶ月分の休業補償を準備しておきましょう。

【貯蓄・資産運用目的】貯蓄・運用と保険は別で考えましょう

数十年前には、非常に運用率の良い保険も多数存在していましたが、2020年現在、そのような保険を見かけることはなくなりました。運用率が下がり、途中解約すると支払った保険料以下しか戻ってこないとなると、貯蓄や運用は、預貯金や他の投資商品で行ったほうが賢明です。

【節税目的】法人保険を使った節税はできなくなりました

2019年2月の通称バレンタインショック以降、節税ができて、返礼率も高い生命保険は姿を消しました。 そもそも、保険を節税目的で使えたのは、法人のみで、バレンタインショック以前は、全額損金計上が可能で、返礼率も100%近い商品も存在したため、法人に多くの利益が残った際に、経費として保険料を支払い、法人税を支払い、返礼率が100%に近くなったタイミングで解約すると、運用効果は低いものの、経費を出して法人税が安くなった分だけ得をするといった売り文句だったのです。ただし、事前のシミュレーションを行ったため、納めた税金はほとんど変わらず、その時期のみが先送りされていた(課税繰り延べ)という事例も数多くありますので、その出口戦略(解約時期等の設定)は非常に重要です。 今回の改正では、改正前に加入された保険の税務処理はそのままとされましたので、タイミング良く改正前に加入できた保険に関しては、節税効果を得られるうちは継続されるのが良いでしょう。 しかし、今後加入される法人保険においては、バレンタインショック以前の保険同等の節税効果は期待できなくなっていますので、節税と保険も、分けて考えた方が良いでしょう。

【退職金目的】退職金目的の法人保険は拠出時も受取時もお得!?

こちらも、法人で活用できる手法です。 前述のとおり、バレンタインショックで、節税目的で活用できる保険は姿を消しましたが、退職金も積み立てを目的とした生命保険(法人保険)の活用は現在も有効です。確定拠出年金など公的な制度を活用して退職金原資を確保するにも限度がありますので、法人をお持ちで、毎年法人に一定利益が残っている場合には、退職金目的で法人保険に加入することにより、一部損金計上しながら、税金の安い退職所得として受け取ることができれば、トータルで支払う税金は大幅に減らせます。 ご自身の他に、配偶者やご両親、お子様などを役員にして所得を分散するという節税手法を採用されている方も多いかと思いますが、現在(役員報酬)と未来(退職金)という形で所得を分散する方法も非常に有効です。 ここで一点注意したいのが、退職金の上限額を意識して積み立てるということです。特に新医療法人の場合、解散時に退職金等で取り切れなかった法人の資産は国や地方公共団体に帰属しますので、拠出時も受取時もお得だからとはいえ、こちらも掛け過ぎには注意してください。また、法人で保険に入る際には、重複や掛け過ぎを防ぐため、個人で加入されている保険の見直しも同時に行うようにしましょう。

まとめ

以前は、運用率が高かったり、節税になる商品があったりと、従来の保険機能以上の効果が期待でき、非常に安心でお得なイメージのあった保険ですが、保険料の支払いが家計を圧迫しているケースも珍しくありません。 必要保障額は年々減っていきますし、保険の内容も変わりますので、保険は定期的に見直しをし、その時の状態にピッタリの保障プランを手に入れてください。


人気記事ランキング

タグ一覧