①節税→可処分所得UP
②退職金積立と保障構築
③相続対策
この手法を採用した狙いは、主に以下の3点です。
①奥様への所得分散
②法人資産を活用した退職金制度、保障構築
③法人の株式を生前贈与し、将来的な相続財産を圧縮
フリーランスとしてご活躍するに当たり、
・スケジュール調整など従来より奥様のサポートを受けていた点
・講演料や執筆料等医業以外の収入があったこと
・三人のお子様が医業とは違う道に進まれたことで、医院開業の可能性もなくなったこと
上の点も踏まえ、税金のコントロール及び、保障や退職金の準備がしやすい、株式会社の設立をお勧めしました。
株式会社を活用することで、所得分散や経費計上が可能になるため、税金のコントロールが容易になります。
さらに、法人内の資産を活用して退職金や保障を準備することも可能です。
ただし、医業収入を株式会社等営利法人で受け取ることは禁じられています。
のため、病院でのアルバイト代等をそのまま株式会社で受け取るといった節税スキームは成り立ちません。
なお、株式会社の設立・運営にはイニシャルコスト(資本金+20万円~)とランニングコスト(年間30万円~) 程度の費用が発生するため、数十万円節税できれば良いといった方向けの手法ではありません。
法人で見込める収益が数百万円程度である場合や、相続対策を目的とせず、融資を受ける予定もないような場合には、株式会社ではなく比較的コストが安く済む合同会社の活用をお勧めする場合もあります。
医師・歯科医師にとって、もっとも身近な法人は医療法人でしょう。
今回のドクターの場合も、“開業”→“医療法人化”の道を検討されたそうですが、現状開設できる新医療法人のデメリットは解散時の残余財産が国もしくは地方公共団体に帰属するという点です。
医療法人の理事長となれるのは、医師もしくは歯科医師のみです。
3人の娘様全員が、医療とは別の道に進まれ、後継者の目処が立たなかったことが開業を断念されたことが大きな理由のひとつでした。
その点、株式会社など一般法人の場合、その代表となるのに、そのような要件はありません。 さらに、株式会社の業務には医療法人(原則医業のみ)のような制限もありません。
フリーの麻酔科医として多くの病院を飛び回ることが体力的にきつくなる日が来たら、都市部を離れて、田舎で執筆活動をして過ごしたいとお考えられていたビジョンとマッチしたことも医療法人ではなく、株式会社を選ぶ決め手となったそうです。
株式会社を設立されたのは、2019年10月です。
法人2期目に入った2020年、代表取締役となった奥様と先生、お二人への給与の支払い、企業型確定拠出年金及び、長期平準定期保険を活用した退職金積立を既に開始されています。
国民健康保険から、社会保険に切り替えたことで、保険料が大幅に安くなり、その浮いた分を活用して、新たな投資も検討されています。
そして第2期から、お子様への株式の譲渡も計画されています。
以上のような手法を採用することで、2019年度末の時点では、会社を設立するためのイニシャルコスト(資本金+35万円)やランニングコスト(年間60万円程度)など、特に出ていくものが多かったこともあり、まだ効果を実感できないと話されていたこともございました。
しかし、専業主婦であった奥様への所得分散、図書研究費や交通費等の経費計上、個人保険の見直し、法人資産の運用等の効果などにより、2020年3月の確定申告では所得税額が2018年より約380万円も減っており、先生と奥様へ1,000万円ずつの退職金、
70歳までに生前贈与を完了させるという計画も、あと少しで目処が立ちそうだとのご連絡をいただきました。