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開業医が知っておきたい!新型コロナウイルス感染症の支援制度

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こんにちは。インベストメントパートナーズ、コンサルタントの吉田です。 4月に入り、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って、日本政府や各自治体が様々な支援策を打ち出し始めました。 しかし、代表的な、東京都が給付を表明している休業協力金や、住民税非課税世帯や収入が半減した世帯を対象とした30万円の現金給付、事業収入が前年同月比で半分以下になった場合に上限100~200万円(中小企業の場合200万円、個人事業主の場合100万円が上限)で減少額が給付金で補填される『持続化給付金』などに関しては、どれも対象となる方の基準が50%以上の減少と厳しく、なかなか活用できそうな制度がないというお声も聞こえてきます。 医療機関は営業自粛の対象となっていないことや、インフルエンザや花粉症などが流行している際の混雑した病院のイメージや開業医は裕福であるという印象などもあり、世間一般的には、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大が医療機関の経営者に与える金銭的な影響は大きくないというイメージが強いのかもしれません。 確かに、被害が大きいと言われている飲食業や観光業などと比べると、売り上げが半分以下になっていると話される方はまだ多くない印象ですが、ちょうど緊急事態宣言が7都府県に発令された頃から、弊社にもクライアントの院長先生方から何か対策を打たなくてはといったお困りの声が届き始めました。 そこで、今回は、開業医の皆様が医院や従業員を守っていくために活用できそうな支援制度をお調べしました。 公的な文書を読んでいると、非常にややこしく、理解しにくいと感じることが多いですが、≪雇用を守るための助成金≫≪医院経営を維持するための支援制度≫≪医院のさらなる発展を目指す方におすすめの助成金≫の3つの項目に分けて、できる限りかみ砕いて、わかりやすくお伝えできればと思っております。

■雇用を守るための助成金

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、医療従事者であると同時に経営者でもある皆様にとって、従業員の生活も守らなければならないという責任が重くのしかかってきているとお聞きしています。 まずは、雇用を守るために活用できる2つの助成金をご紹介しましょう。 ①小学校休業等対応助成金 私たちがクライアント様方からよくお聞きするお話の中で特に多いのが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って学校が休みになっているため、小さなお子様のいるスタッフの方などで、出勤が難しくなっている人がいるといったものです。 今回のような、いつ収束して、いつまで学校が休みになるのかもはっきりしない状況においては、子供の預け先がないため仕事を休まなければならないけれども、長期的に収入が大幅に減ってしまうと生活できないと思い悩む保護者が出てくることは容易に想像がつき、院長先生方のもとにもスタッフの方から、働き方に関する相談が入り始めている頃なのではないでしょうか。 そんなケースへの支援策として、「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」という事業主向けの助成金が創設されています。 こちらの助成金を活用すると、令和2年4月1日から6月30日までの間に、事業主が小学校等の休校等を理由に出社できなくなった従業員に対して、法令上の年次有給休暇以外で有給休暇を与えた場合、その賃金相当額(上限8,330円)が支給されます。 申請期間は6月30日までですので、該当するスタッフがいらっしゃる方はぜひご検討ください。 ②雇用調整助成金の特例措置の拡大 こちらは、全業種において、新型コロナウイルス感染症の影響で事業縮小を余儀なくされた事業主が雇用の維持を図るための休業手当として支払った費用(今年4月1日~6月30日の間に要した費用)の最大90%を助成するというものです。 ①の小学校休業等対応助成金と異なるのは、その休業を誰から申し出るのかという点です。 具体的には、①は子供の学校が休みになってしまったため、子供の面倒をみるために休みたいという保護者(従業員)からの申し出を、雇用主である院長が認めた場合に支給される助成金であるのに対して、こちらは、例えば新型コロナウイルス感染症の影響で患者数が減ったため、事業主側から定休日を増やす、営業時間を2時間短縮するなどといった決定を下したうえで、従業員に休業の指示を出した場合に支払われる休業手当の、最大9割を助成する制度であるという違いがあります。 つまり、①の対象とならない従業員から、感染を避けるためなど、他の理由で休みたいという申し出があった場合には、通常通り有給休暇の利用を促すか、欠勤扱いとするのが一般的となるでしょう。 売上が減っているため人件費の負担が辛いという経営者の声は、様々な業界から聞こえてきています。しかし、よほどの理由がない限り、従業員を解雇することは法律で禁じられており、非常時とはいえ、多少売り上げが下がった程度では正当な解雇理由として認められないでしょう。 今回の感染拡大が起こった時期が年度末であったことも重なり、今年は内定取り消しも多く見られたようです。そんな中、この雇用調整助成金の制度を利用して、雇い入れた後に休業を命じて休業補償を受けられるようにしたり、インターネットやWEB教材を利用して研修を行っている企業も多いと聞きます。 医療機関におかれましては、導入のハードルが高い部分があるが多いかと思いますが、こんな時期だからこそ、バックアップする制度も準備されていますので、もし診療に余裕がある場合には、テレワークを導入や研修制度の拡充等、新しい働き方をこの機会に模索されてみてはいかがでしょうか。 (例えば、来月5月末までにテレワークを新規導入した事業者に対して、パソコンやタブレット等の購入費用を除く、テレワーク導入にかかった費用を助成する新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコースなどが創設されています)

■医院経営を維持するための支援制度

次に、医院経営の資金繰りを改善するために、活用できそうな支援制度を2つご紹介します。 ③税金・社会保険料の支払い猶予 今年の2月以降、昨年の同時期と比べて売り上げが20%以上減少した事業者に対して、税金や社会保険料の支払いを原則1年間猶予する特例が出されています。 猶予の対象となる税金や保険料は多岐にわたり、所得税をはじめ、住民税、消費税、国民健康保険料、厚生年金保険料などがその対象に含まれています。 さらに、固定資産税や都市計画税など、支払い猶予ではなく、減免となる可能性がある税金もあります。 開業医の皆様の場合は、支払われている税金や社会保険料は他業種と比べて高額であることが多いため、それが猶予されることで非常に大きな効果が期待でき、それらの支払いが原則1年間、無担保、無利子で猶予できれば、当面の資金繰りの目途が立つという開業医の方も多いのではないでしょうか。 所得税や消費税など国税は税務署、住民税や国民健康保険料はお住まいの市区町村、固定資産税と都市計画税は中小企業庁、厚生年金保険料等は最寄りの年金事務所が問い合わせ先となっていますので、該当すると思われる方は問い合わせてみてください。 特に、次に挙げる緊急融資を検討されている場合には、こちらに該当していないか確認していただき、融資制度と比較検討していただければと思います。 ④緊急融資制度 新型コロナ感染症の感染拡大の影響で、融資が必要となった事業者に対して、日本政策金融公庫が行っている実質無利子・無担保で融資を受けられる特別貸付制度をはじめ、多くの民間の金融機関においても地域の事業主が事業を継続できるよう支援していく特別緊急融資の取り組みが始まっています。 日本政策金融公庫の場合は、特別貸付制度を利用して融資を受けた事業者が、「特別利子補給制度」の適用を受けることで、3年目まで基準金利(1.36~1.65%)-0.9%の利率となり、一旦公庫に返済した後、支払い済み利子額を実施機関から補給されるため、最初の3年間は実質金利0%で融資を受けられるという仕組みになっています。 その融資限度額は、中小企業事業の場合は最大3億円、国民生活事業の場合は6,000万円で、そのうち特別利子補給制度が適用されるのは、中小企業事業に対する融資の1億円、国民生活事業の場合は3,000万円です。(中小企業事業の対象となるのは資本金1,000万円以上の中小企業となっているため、多くのクリニックは国民生活事業の対象となっているものと考えられます。) 医院やクリニックの場合は、他業種と比べて信用力があると評価する金融機関が多いため、例に挙げた日本政策金融公庫以外でも好条件で、運転資金や設備資金の融資を受けられるのではないかと思われますので、日本政策金融公庫の窓口に人が殺到していると言われている今、事業借り入れをしている金融機関等の方が、より早く、長期的にみると良い条件で融資を受けられる場合も十分に考えられます。 融資を検討されている方は、まず、普段からお付き合いのある金融機関に相談されてみてはいかがでしょうか。

■医院のさらなる発展を目指す方にお勧めの補助金

最後に、こんな時だからこそ、設備投資をして、長期的に経営を良くする戦略を講じたいと考えられる院長先生方にご検討いただきたい補助金をご紹介します。 ⑤ものづくり補助金の特別枠の新設 従来からクリニック等でも活用されることの多い、中小企業生産性革命推進事業の、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)」に、新型コロナウイルスの影響を乗り越えるために設備投資をし、生産性向上に取り組む事業者を対象とした、補助率を1/2から2/3引き上げた「特別枠」が新たに設けられています。 通常よりも多くの補助金を獲得するチャンスですので、ぜひご検討ください。

■まとめ

今回は、新型コロナウイルス感染症に関わる5つの支援制度についてお伝えしました。 ご自身にとって活用できるものはないかご確認いただき、この苦境を乗り越えるためにお役立ていただけますと幸いです。 ※本原稿は2020年4月15日(水)時点における情報を基に執筆したものです。 その後の、政府や各自治体の方針変更に伴う差異が発生している可能性がございます。予めご了承いただけますようお願いいたします。

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