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医師の会計ソフト比較|クラウド型TOP5

医師として開業や医療法人を運営する際、会計処理は避けて通れない重要な業務です。診療に専念しながら効率的に会計業務を行うには、クラウド型会計ソフトの導入が有効な選択肢となります。

本記事では、医師に適したクラウド会計ソフトを5つ紹介します。

なお、各会計ソフトの利用料金については、キャンペーンが適用されている可能性もありますので、公式サイトで最新の情報をご確認ください。

目次[非表示]

  1. 1.クラウド会計ソフトを選ぶメリット
    1. 1.1.1. freee会計
      1. 1.1.1.個人事業主向けプラン
      2. 1.1.2.法人向けプラン
      3. 1.1.3.freee会計の特徴
    2. 1.2.2. マネーフォワード クラウド会計
      1. 1.2.1.個人事業主向けプラン
      2. 1.2.2.法人向けプラン
      3. 1.2.3.マネーフォワード クラウド会計の特徴
    3. 1.3.3. 弥生会計シリーズ
      1. 1.3.1.個人事業主向けプラン
      2. 1.3.2.法人向けプラン
      3. 1.3.3.弥生会計シリーズの特徴
    4. 1.4.4. 勘定奉行クラウド
      1. 1.4.1.料金プラン
      2. 1.4.2.勘定奉行クラウドの特徴
    5. 1.5.5. 会計王(ソリマチ)
      1. 1.5.1.会計王の特徴
  2. 2.医師特有の会計ニーズへの対応
    1. 2.1.収入の管理
    2. 2.2.医療機器の減価償却
    3. 2.3.スタッフの給与計算
    4. 2.4.電子帳簿保存法への対応
  3. 3.クラウド会計ソフト導入による業務効率化の具体例
    1. 3.1.日常の収支管理の効率化
    2. 3.2.レセプト請求と収入管理の連携
    3. 3.3.経費精算の効率化
    4. 3.4.決算・確定申告業務の効率化
  4. 4.会計ソフト選びのポイント
    1. 4.1.規模と形態に応じた選択
    2. 4.2.サポート体制
    3. 4.3.税理士との連携
    4. 4.4.無料体験の活用
  5. 5.セキュリティとデータ保護
    1. 5.1.データの暗号化と保管
    2. 5.2.アクセス権限の管理
  6. 6.モバイルアプリの活用
    1. 6.1.外出先からの確認・承認
    2. 6.2.リアルタイムな経営状況の把握
  7. 7.導入時の注意点
    1. 7.1.年度途中での導入
    2. 7.2.スタッフへの教育
  8. 8.まとめ

クラウド会計ソフトを選ぶメリット

クラウド会計ソフトは、インターネット環境があればどこからでもアクセスできるため、診療の合間や自宅からでも会計処理が可能です。また、法令改正への自動対応やデータの自動バックアップなど、インストール型にはない利点があります。

医師の場合、個人開業医として個人事業主の形態で運営する場合と、医療法人として法人化する場合があり、それぞれに適した会計ソフトが異なります。本記事では両方の形態に対応できるよう、個人事業主向けと法人向けのソフトを含めて紹介します。

1. freee会計

freee株式会社が提供するfreee会計は、クラウド会計ソフト市場で高いシェアを持つ製品です。個人事業主向けと法人向けの両方のプランが用意されています。

個人事業主向けプラン

個人開業医の場合、以下の3つのプランから選択できます。

【スタータープラン】

  • 月額料金:年払い980円/月(11,760円/年)、月払い1,780円/月
  • 基本的な確定申告機能を備えたエントリープラン
  • 銀行やクレジットカードからの明細自動取得
  • 確定申告書の作成と電子申告
  • 見積書・請求書の作成

【スタンダードプラン】

  • 月額料金:年払い1,980円/月(23,760円/年)、月払い2,980円/月
  • スタータープランの全機能に加えて以下が利用可能
  • 消費税申告機能(インボイス制度対応)
  • レシート撮影機能(月10GBまで)
  • 詳細レポートの出力
  • 優先サポート

【プレミアムプラン】

  • 月額料金:年払いのみ3,316円/月(39,800円/年)
  • スタンダードプランの全機能
  • 電話サポート
  • 税務調査サポート(最大50万円まで税理士費用を補償)


法人向けプラン

医療法人の場合は法人向けプランを選択します。

【ひとり法人プラン】

  • 月額料金:年払い2,980円/月(35,760円/年)、月払い3,980円/月
  • メンバー数:1人(最大2人まで追加可能)
  • インボイス制度・電子帳簿保存法対応
  • レシート管理
  • 請求書作成・管理
  • 帳簿作成
  • 決算書作成
  • 経費精算(承認1段階まで)
  • 従量課金なし

【スタータープラン】

  • 月額料金:年払い5,480円/月(65,760円/年)、月払い7,280円/月
  • メンバー数:3名まで
  • 基本的な帳簿、受発注書類、決算書の作成
  • 経営分析レポート
  • インボイス制度・電子帳簿保存法対応
  • メール・チャット・電話サポート

【スタンダードプラン】

  • 月額料金:年払い8,980円/月(107,760円/年)、月払い11,980円/月
  • メンバー数:3名まで
  • スタータープランの全機能に加えて
  • カスタムレポート機能
  • 受発注書類の作成、電子証憑管理機能

【アドバンスプラン】

  • 月額料金:年払い39,780円/月(477,360円/年)、月払い51,980円/月
  • メンバー数:5名まで
  • スタンダードプランの全機能に加えて
  • 経費精算+ワークフロー機能
  • 管理会計・予実管理
  • 専任サポート

【エンタープライズプラン】

  • 料金は要問い合わせ
  • アドバンスプランの全機能に加えて上場対応

初期費用は無料です。


freee会計の特徴

freee会計の最大の特徴は、簿記知識がなくても使える直感的なインターフェースです。取引データの自動取得とAIによる自動仕訳機能により、入力作業を大幅に削減できます。

また、国内の主要な銀行やクレジットカードと連携可能で、3,200以上の金融機関に対応しています。

電子帳簿保存法やインボイス制度にも標準対応しており、法令改正時には自動的にシステムがアップデートされるため、常に最新の制度に準拠した運用が可能です。

2. マネーフォワード クラウド会計

株式会社マネーフォワードが提供するマネーフォワード クラウド会計は、バックオフィス業務全体を一元管理できるクラウドサービスです。

個人事業主向けプラン

個人開業医の場合、以下の3つのプランから選択できます。

【パーソナルミニプラン】

  • 月額料金:年払い900円/月(10,800円/年)、月払い1,280円/月
  • 確定申告書類の作成(青色・白色対応)
  • 確定申告書類の電子申告
  • 銀行・クレジット明細の自動取込
  • レシート撮影(月15件まで無料)
  • メール/チャットサポート

【パーソナルプラン】

  • 月額料金:年払い1,280円/月(15,360円/年)、月払い1,680円/月
  • パーソナルミニプランの全機能に加えて以下が利用可能
  • 消費税申告(インボイス制度対応)
  • レシート撮影(月30件まで無料)
  • 電子ファイルの保存数上限なし
  • 請求書作成・メール送付の一括操作
  • 経営状況のレポート確認

【パーソナルプラスプラン】

  • 月額料金:年払いのみ2,980円/月(35,760円/年)
  • パーソナルプランの全機能に加えて以下が利用可能
  • レシート撮影(月100件まで無料)
  • 電話サポート

法人向けプラン

医療法人の場合は法人向けプランを選択します。

【ひとり法人プラン】

  • 月額料金:年払い2,480円/月(29,760円/年)、月払い3,980円/月
  • 利用人数:1名まで
  • 1会計年度の仕訳数:500件まで

【スモールビジネスプラン】

  • 月額料金:年払い4,480円/月(53,760円/年)、月払い5,980円/月
  • 利用人数:3名まで
  • 1会計年度の仕訳数:無制限

【ビジネスプラン】

  • 月額料金:年払い6,480円/月(77,760円/年)、月払い7,980円/月
  • 利用人数:無制限(4名以上は従量課金)
  • 1会計年度の仕訳数:無制限

初期費用は無料です。無料トライアル期間が1ヶ月用意されており、クレジットカードの登録なしで試用できます。


マネーフォワード クラウド会計の特徴

マネーフォワード クラウド会計は、従来の会計ソフトに慣れている方にとって使いやすい設計となっています。銀行口座やクレジットカードとの連携により、取引データを自動で取り込み、AIが適切な勘定科目を提案します。

バックオフィス業務の統合管理が特徴で、会計・経費精算・給与計算・勤怠管理・請求書発行などを同一プラットフォームで処理できます。


3. 弥生会計シリーズ

弥生株式会社は、会計ソフト業界で長年の実績を持つ企業です。クラウド型では法人向けの「弥生会計 Next」と個人事業主向けの「やよいの青色申告 オンライン」を提供しています。

個人事業主向けプラン

やよいの青色申告 オンラインは、個人事業主向けのクラウド確定申告ソフトです。3つのプランがあり、機能はすべて同じでサポート内容のみが異なります。

セルフプラン

  • 年額10,300円(税別)
  • 全ての機能が利用可能
  • WebFAQ・チャットボット(AI)

ベーシックプラン

  • 年額17,250円(税別)
  • セルフプランの全機能に加えて以下が利用可能
  • 電話・メール・チャットによる操作サポート

トータルプラン

  • 年額30,000円(税別)
  • ベーシックプランの全機能に加えて以下が利用可能
  • 業務相談

初年度無償キャンペーンが実施されており、2026年3月15日までの申し込みで、セルフプランおよびベーシックプランは初年度無償、トータルプランは初年度50%OFFで利用できます。

法人向けプラン

法人向けの弥生会計 Nextでは、以下の3つのプランがあります。

エントリープラン

  • 年額34,800円(税別、月あたり2,900円)
  • 帳簿・決算書作成
  • 見積書・納品書・請求書・領収書作成
  • 証憑の保存・管理
  • 部門管理
  • 経費精算
  • WebFAQ・チャットボット
  • 会計機能・請求機能:各3名まで無料

ベーシックプラン

  • 年額50,400円(税別、月あたり4,200円)
  • エントリープランの全機能に加えて以下が利用可能
  • 有人メール・有人チャットサポート
  • 経費精算機能:3名まで無料

ベーシックプラスプラン

  • 年額84,000円(税別、月あたり7,000円)
  • ベーシックプランの全機能に加えて以下が利用可能
  • 電話サポート
  • 仕訳相談
  • 経費精算機能:5名まで無料

最大3か月の無料体験プランが用意されており、全機能を試用できます。

弥生会計シリーズの特徴

弥生会計シリーズは、BCN AWARD 2025において26年連続で年間販売数量No.1を受賞しており、多くの税理士や会計事務所で使用されています。そのため、顧問税理士との連携がスムーズに行えるでしょう。

やよいの青色申告 オンラインは、個人事業主向けに特化しており、複式簿記による記帳から青色申告決算書の作成、e-Taxによる電子申告までを一貫してサポートします。

弥生会計 Nextは、会計・経費・請求業務を一元管理でき、AIによる自動仕訳機能を搭載。金融機関との連携により取引データを自動取得し、適切な勘定科目をAIが提案します。また、弥生請求 Next、弥生経費 Next、弥生証憑 Nextとのシームレスな連携が可能で、バックオフィス業務全体を効率化できます。


4. 勘定奉行クラウド

株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC、東証プライム上場)が提供する勘定奉行クラウドは、中小企業から大企業まで幅広く導入されているクラウド会計システムです。

導入実績82万、5,557社のグループ会社でご導入いただいており、2023年にはIPO実現企業の50%がOBCのクラウドサービスを導入しています。

料金プラン

勘定奉行クラウドには5つのプランが用意されています。

iEシステム(小規模企業向け)

  • 初期費用:0円
  • 年間利用料:93,000円(税別、月あたり7,750円~)
  • 仕訳伝票明細件数:30,000明細
  • 利用者1名+専門家1名

iJシステム(小規模企業向け)

  • 初期費用:50,000円(税別)
  • 年間利用料:141,000円(税別、月あたり11,750円~)
  • 仕訳伝票明細件数:100,000明細
  • 利用者1名+専門家1名

iAシステム(中小企業向け)

  • 初期費用:50,000円(税別)
  • 年間利用料:234,000円(税別、月あたり19,500円~)
  • 仕訳伝票明細件数:300,000明細
  • 利用者1名+専門家1名

iBシステム

  • 初期費用:60,000円(税別)
  • 年間利用料:282,000円(税別、月あたり23,500円~)
  • iAシステムに多角分析機能を追加
  • 仕訳伝票明細件数:300,000明細

iSシステム

  • 初期費用:70,000円(税別)
  • 年間利用料:336,000円(税別、月あたり28,000円~)
  • iBシステムに管理会計機能を追加
  • 仕訳伝票明細件数:300,000明細

各プランで処理できる仕訳伝票明細件数が異なり、拡張パックにより明細数を追加することも可能です。

勘定奉行クラウドの特徴

勘定奉行クラウドは、長年の財務会計システム開発の実績に基づく信頼性の高いシステムです。AI学習により金融機関の取引データから自動仕訳を行う機能や、Excelファイルを取り込んで自動仕訳を行う機能など、入力作業を大幅に削減する機能が豊富に搭載されています。

インボイス制度や電子帳簿保存法に標準対応しており、法令改正時には自動的にアップデートされます。

また、OBCメンバーシップサポート&サービス(OMSS)により、電話や画面共有を利用した充実したサポートが利用可能です。会計簿記やマイクロソフト技術資格を取得した専任サポートスタッフが、確実かつ迅速に対応します。

部門別・取引先別の試算表集計や、管理会計用の自由な科目体系の設定が可能で、複数の診療所や部門を持つ医療法人に適しています。


5. 会計王(ソリマチ)

会計王は買い切り型のソフトウェアで、通常価格44,000円(税込)で販売されています。初年度分の年間保守契約「バリューサポート」が無償で付帯しており、最大15ヶ月の電話サポートが利用できます。

バリューサポートには以下のサービスが含まれます:

  • サポートセンター(電話・メール・チャット・FAX)
  • 法令・制度改正時の更新プログラムの無償提供
  • 次期製品無償提供
  • 無料ストレージ「安心データバンク」(通常月額550円が無料)
  • インボイス王の利用
  • 電子帳簿保存BOXの利用
  • 訪問指導サービス10%OFF
  • 専用帳票10%OFF
  • その他各種特典

2年目以降もバリューサポートを継続する場合は、年間38,500円(税込)の保守料が必要となります。

会計王の特徴

会計王は「かんたん操作×しっかり機能」をコンセプトに開発されており、業種を選ぶだけで初期設定が完了します。他社会計ソフトのデータ取り込みにも対応しているため、既存のソフトからの乗り換えもスムーズです。

AI自動仕訳機能を搭載しており、銀行口座やクレジットカードの明細を「MoneyLink」というサービスに登録することで、自動的に明細を取得し仕訳を作成できます。国内99%の金融機関に対応しており、都市銀行、ネット銀行、地方銀行、信用金庫など幅広い金融機関と連携可能です。

インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応しており、「インボイス王」との連携により、請求書の作成から保存まで効率的に処理できます。

買い切り型のため、長期的にはランニングコストを抑えられる点が特徴です。小規模な個人開業医で、サブスクリプション型の継続課金を避けたい場合に適した選択肢となります。


医師特有の会計ニーズへの対応

医師が会計ソフトを選ぶ際には、医療業界特有のニーズにも配慮する必要があります。

収入の管理

医療収入は保険診療と自由診療が混在するため、それぞれを適切に区分して管理する必要があります。クラウド会計ソフトでは、勘定科目を自由に設定できるため、医療収入を細かく分類して管理することが可能です。

医療機器の減価償却

高額な医療機器は固定資産として計上し、耐用年数に応じて減価償却する必要があります。紹介した各ソフトはいずれも固定資産管理機能を備えており、自動的に減価償却費を計算できます。

勘定奉行クラウドでは固定資産奉行クラウドとの連携により、より詳細な固定資産管理が可能です。

スタッフの給与計算

医療法人でスタッフを雇用している場合、給与計算も重要な業務です。マネーフォワード クラウドや弥生会計 Nextでは、給与計算システムとの連携により、給与データを自動的に会計システムに取り込むことができます。

電子帳簿保存法への対応

2024年1月以降、電子取引データの電子保存が義務化されています。医療機関で増加している電子請求書や電子領収書を適切に保存・管理するため、電子帳簿保存法に対応した会計ソフトの導入が必要です。

本記事で紹介した全てのクラウド会計ソフトは電子帳簿保存法に対応しており、電子データの保存や検索機能を備えています。

クラウド会計ソフト導入による業務効率化の具体例

医療機関でクラウド会計ソフトを導入することで、以下のような業務効率化が実現できます。

日常の収支管理の効率化

診療報酬の入金確認や医薬品・医療材料の仕入れ管理において、銀行口座やクレジットカードとの自動連携により、手入力の手間が大幅に削減されます。freee会計やマネーフォワード クラウド会計では、1,000以上の金融機関やサービスと連携可能で、取引データの自動取得が可能です。

例えば、医薬品卸からの請求をクレジットカードで決済している場合、カード明細が自動的に取り込まれ、AIが適切な勘定科目(医薬品費や衛生材料費など)を提案します。医師は提案内容を確認するだけで仕訳が完了するため、記帳作業の時間を大幅に短縮できます。

レセプト請求と収入管理の連携

医療機関の収入は、社会保険診療報酬と患者自己負担分、自由診療に大きく分かれます。レセプトコンピュータから出力されるデータをCSV形式で会計ソフトに取り込むことで、診療報酬の計上を効率化できます。

弥生会計 NextやマネーフォワードクラウドではCSVインポート機能が充実しており、レセコンのデータを定型フォーマットで取り込むことが可能です。これにより、毎月のレセプト請求額と実際の入金額を照合する作業も簡素化されます。

経費精算の効率化

医療法人でスタッフを雇用している場合、スタッフの立替経費の精算業務が発生します。

freee会計、マネーフォワード クラウド会計、弥生会計 Nextには経費精算機能が統合されており、スタッフがスマートフォンアプリでレシートを撮影すると、自動的に日付や金額が読み取られ、経費申請が作成されます。

管理者は申請内容をオンラインで確認し、承認するだけで会計データに自動連携されるため、紙の経費精算書のやり取りや手入力が不要です。これにより、事務スタッフの業務負担が軽減され、本来の医療事務業務に集中できる環境が整います。

決算・確定申告業務の効率化

クラウド会計ソフトでは、日々の取引データが自動的に集計され、試算表や損益計算書がリアルタイムで確認できます。常に経営状況を確認していれば、決算時期になって慌てて帳簿を整理する必要がありません。

個人開業医の確定申告では、freee会計ややよいの青色申告 オンラインで質問に答える形式で申告書を作成でき、e-Taxを利用した電子申告にも対応しています。医療法人の決算では、弥生会計 Nextや勘定奉行クラウドで決算書類を作成し、税理士と画面を共有しながら確認作業を進められます。

会計ソフト選びのポイント

規模と形態に応じた選択

個人開業医の場合は、freee会計のスタータープランややよいの青色申告 オンラインのような、比較的低価格で確定申告に必要な機能が揃ったプランが適しています。

医療法人で複数のスタッフを雇用している場合は、給与計算や経費精算との連携機能を持つマネーフォワード クラウド会計や弥生会計 Next、複数部門の管理が必要な場合は勘定奉行クラウドが選択肢となります。

サポート体制

会計ソフトを初めて使用する場合や、会計知識に不安がある場合は、サポート体制が充実しているプランを選ぶことをおすすめします。

freee会計のプレミアムプランや弥生会計 Nextのベーシックプラスプラン、マネーフォワード クラウド会計のビジネスプランでは電話サポートが利用できます。また、勘定奉行クラウドでは全プランで専任サポートスタッフによる電話・画面共有サポートが利用可能です。

税理士との連携

顧問税理士がいる場合は、税理士が使い慣れているソフトを選ぶことで、スムーズな連携が可能になります。弥生会計シリーズは多くの税理士事務所で使用されており、税理士との連携がしやすいという利点があります。

また、各ソフトには税理士・会計事務所向けの共有機能があり、リアルタイムでデータを共有しながら会計処理を進めることができます。

無料体験の活用

全てのソフトで無料体験期間が設定されています。実際の業務で使用感を確認してから導入を決定することをおすすめします。

  • freee会計:30日間無料
  • マネーフォワード クラウド会計:1ヶ月無料
  • 弥生会計 Next:最大3ヶ月無料
  • やよいの青色申告 オンライン:初年度無料
  • 勘定奉行クラウド:30日間無料

セキュリティとデータ保護

医療機関では患者情報を扱うため、セキュリティ対策は極めて重要です。クラウド会計ソフト自体には患者の個人情報は保存されませんが、医療法人の財務情報は重要な機密情報です。

データの暗号化と保管

本記事で紹介した主要なクラウド会計ソフトは、いずれも通信の暗号化(SSL/TLS)とデータの暗号化保存を実施しています。また、データセンターでの多重バックアップにより、災害時やシステム障害時にもデータの消失を防ぐ体制が整っています。

勘定奉行クラウドでは3重の冗長化によりデータを保護しており、障害発生時にも迅速な復旧が可能です。freee会計やマネーフォワード クラウド会計も、AWS(Amazon Web Services)などの信頼性の高いクラウドインフラストラクチャを利用しています。

アクセス権限の管理

医療法人で複数のスタッフが会計ソフトを利用する場合、適切なアクセス権限の設定が重要です。各クラウド会計ソフトでは、ユーザーごとに閲覧・編集・承認などの権限を細かく設定できます。

例えば、事務スタッフには日常の取引入力権限のみを付与し、月次決算や決算書の作成は管理者のみが行えるように設定することで、誤操作や不正な操作を防止できます。

モバイルアプリの活用

現代の医師は多忙な診療の合間に会計業務を行う必要があるため、スマートフォンやタブレットから会計処理ができる環境が重要です。

外出先からの確認・承認

freee会計、マネーフォワード クラウド会計、弥生会計 Nextはいずれもスマートフォンアプリを提供しており、外出先や自宅からでも経営状況の確認や取引の登録が可能です。

往診や学会出張の際にも、スマートフォンアプリで交通費や宿泊費のレシートを撮影して記録できます。撮影した画像からAIが自動的に金額や日付を読み取るため、後日改めて入力する手間が省けます。

リアルタイムな経営状況の把握

診療の合間にスマートフォンで当月の収支状況や資金繰りを確認できることは、医療経営において大きなメリットです。資金ショートの予兆を早期に発見し、対策を講じることができます。

各ソフトのダッシュボード機能により、売上推移、費用の内訳、利益率などを視覚的に把握できます。グラフやチャートで表示されるため、会計の専門知識がなくても直感的に理解できます。


導入時の注意点

年度途中での導入

会計ソフトは通常、事業年度の期首から使用開始することが推奨されますが、年度途中からでも導入は可能です。ただし、期首からの取引データをすべて入力する必要があるため、導入時には一定の作業時間を確保する必要があります。

可能であれば、顧問税理士と相談しながら、事業年度の切り替わりのタイミングで導入することをおすすめします。

スタッフへの教育

医療法人でスタッフが会計ソフトを使用する場合、適切な操作方法の教育が必要です。各ソフトでは操作マニュアルや動画チュートリアルが用意されており、初心者でも段階的に学習できます。

また、電話サポートやチャットサポートを活用することで、不明点をその場で解決できます。

定期的にスタッフ向けの勉強会を開催し、新機能の使い方や効率的な入力方法を共有することで、組織全体の会計処理スキルを向上させることができます。

まとめ

医師向けのクラウド会計ソフトとして、freee会計、マネーフォワード クラウド会計、弥生会計シリーズ、勘定奉行クラウド、会計王の5つの製品を詳しく紹介しました。

個人開業医の場合は、比較的低価格で確定申告に必要な機能が揃ったfreee会計のスタータープランややよいの青色申告 オンライン、買い切り型でランニングコストを抑えられる会計王が選択肢となります。

医療法人で複数のスタッフを雇用している場合は、給与計算や経費精算との連携機能を持つマネーフォワード クラウド会計や弥生会計 Next、高度な部門管理が必要な場合は勘定奉行クラウドが適しています。

クラウド会計ソフトの導入により、銀行口座やクレジットカードとの自動連携、AIによる自動仕訳、リアルタイムな経営状況の把握など、多くのメリットが得られます。また、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応も自動的に行われるため、法令順守の面でも安心です。

まずは各ソフトの無料体験を活用し、実際の業務での使用感を確認することをおすすめします。診療に専念しながら効率的に会計処理を行うために、自院の規模や運営形態に最適なクラウド会計ソフトを選択し、医療経営の効率化を実現しましょう。

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※本記事の内容は、作成時点の制度・規制・規約・市況などの情報を基にして作成しております。改正等により記載内容の実施・実行・対応などが行え場合がございますので予めご了承ください。最新情報に基づいた内容などについては、「ご相談・お問い合わせ」ページからご確認いただけますと幸いです。

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